スペンサースチュアートは昨年に続き「Japan Spencer Stuart Board Index 2022」を刊行致しました。 この「Japan Spencer Stuart Board Index 2022」は、日本を代表する日経225社及びTOPIX100社を対象に、コーポレートガバナンスの現状と課題を分析し、その結果を主要各国のデータとの比較およびスペンサースチュアートの考察も加えてご紹介するものです。中でも注目したい分析結果は次の項目です。
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取締役会の監督機能については、2015年5月施行の改正会社法において、機能充実を目的に、第三の監督機関「監査等委員会」が導入されました。現在、取締役会の監督機能をどのような機関が担うかによって、企業には「監査役会設置会社」、「指名委員会等設置会社」、「監査等委員会設置会社」という3つの選択肢があります。日経225社、TOPIX100社ともに、大多数は未だ監査役会設置会社であるものの、法改正後約7年を経た現在、2割の企業は監査等委員会設置会社に移行しています。
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社外取締役の総数は、日経225社合計で1,055人(延べ)、TOPIX100社合計では522人(延べ)で、どちらも増加傾向です。社外取締役に占める、利害関係を伴わない独立社外取締役の割合は、日経225社で97.7%、TOPIX100社では98.5%と高水準です。独立社外取締役の存在感が増しています。
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外国人取締役を選任している企業は、日経225社では27.1%、TOPIX100社では41.0%で、いずれも昨2021年よりも増加しています。取締役会における外国人取締役の割合は、昨年から微増し、日経225社では5.0%、TOPIX100社では7.7%です。しかし、英国およびフランスの36.0%と比較すると、日本は低い水準です。
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女性取締役を選任している企業は、日経225社では94.2%、TOPIX100社では93.0%です。この割合は毎年着実に増加し、100%に近いフランス、英国、米国に着実に近づいてきています。しかし、取締役会における女性取締役の割合は、日経225社では14.5%、TOPIX100社では16.4%であり、フランス45.4%、英国39%、米国31.7%に対して大きく下回っています。また、女性取締役の構成比が30%以上企業の割合は、日経225社では 7.6%、TOPIX100社では12.0%とこの1年間でほぼ倍増しましたが、欧米諸国のフランス98%、英国の92%、米国の60.2%に比べると依然、低い水準です。
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社外取締役のバックグラウンドは、日経225社、TOPIX100社ともに、事業会社出身者が約5割を占め、そのうちの約70%以上が社長・会長・CEOなどの経営執行の経験者です。